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歯を支える骨が少ない・薄いと、インプラント治療を受けられない場合があります。インプラント治療では事前にレントゲン撮影を行い、骨の状態を歯科医師が確認。そのうえで治療の可否を判断するのですが、骨が少ない・薄いというのはどのような状態を指すのでしょうか?
インプラント治療の際、インプラントを埋め込む顎骨の厚み・高さが必要不可欠になります。2つのうちどれかが不十分だとインプラントができないと判断され、治療を受けることができません。仮に治療を受けられたとしても、インプラントがうまく固定できずに取れてしまう恐れがあります。
骨の厚みは歯茎の幅のこと。「骨がやせている」と表現される場合もあります。上下の顎骨の厚みが十分でないとインプラントをしっかりと支えられないため、治療を受けられません。
骨の高さとは骨と神経血管までの距離を指します。骨との距離が近ければ近いほど、インプラントで神経血管を傷つけるリスクが高くなるでしょう。
インプラントのネジ部分にはある程度の長さがあり、治療内容によってはネジ部分が10mmを超えるインプラントを使用する可能性があります。骨に高さがないとインプラントが突出してしまうため、神経血管を傷つけやすくなってしまうのです。
もし顎骨の状態が悪いままインプラントを受けてしまうと、どのようなリスクを招いてしまうのでしょうか?
上あごの骨に高さがない場合、インプラントによって痛みや腫れを引き起こす可能性があります。
上あごは鼻の横にある上顎洞と隣接している部位。まれに上顎と上顎洞が近い場所にある人もおり、骨に高さがない人は上あごと上顎洞が密接に迫ってしまいます。もしインプラントが上顎洞を突き抜けてしまった場合、ひどい痛みや腫れを感じてしまう恐れが。上顎洞を突き抜けたインプラントを取り除くのはとても難しく、極めて大変な手術になると言われています。
下あごの骨に高さがない場合、インプラントで下顎管を傷つけてしまう可能性があります。
下あごの骨は下顎管という神経や血管の束の近くにある部位です。万が一インプラントで下顎管を傷つけた場合、麻痺や大量出血を引き起こす可能性があります。
骨粗鬆症が原因で骨密度が少ない方・骨がもろい方はインプラントができません。
インプラントを埋め込む顎骨は、骨密度が高いほどインプラントの定着率も上がります。骨密度が低い骨にインプラントを埋め込んでも安定しないため、治療を受けてもすぐ取れてしまう可能性があるのです。骨の形状によっては治療できる場合もありますが、骨密度が高い人に比べると難しい治療となるでしょう。
しかし、適切な治療を行えば骨粗鬆症でも諦める必要はありません。再生医療によって骨を生成・移植すると、インプラントができる状態へと近づけます。
骨粗鬆症の治療で「ビスフォスフォネート系薬剤」を内服している方は、インプラントや抜歯を行わないほうが良いと言われています。
ビスフォスフォネート系薬剤とは、骨が溶けるのを防いで骨粗鬆症の進行を遅らせる内服薬のこと。しかし近年、副作用として顎骨の炎症を引き起こしてしまう可能性があると分かってきました。発症率はそれほど高くないものの、最悪の場合顎骨が壊死してしまう恐れがあります。
ビスフォスフォネート系薬剤は骨粗鬆症以外の治療にも用いられています。上記の薬を服用している方は、インプラント治療を受ける前に歯科医師とよく相談しましょう。
骨の厚みや高さが足りない状態で治療を行うと、インプラントがうまく固定されず後から取れてしまう可能性があります。そのため歯周病で骨が溶けてしまった方や骨粗鬆症で骨が薄いと判断された方は、インプラント治療を受けられませんでした。
しかし、骨が少ない・薄いなどの理由でインプラント治療ができないと診断されても諦める必要はありません。現在は再生医療によってインプラント治療を受けられるようになっているからです。
再生医療のひとつである「GTR法(組織再生誘導法)」は、溶けてしまった骨や歯根膜などを再生する治療法。GTR法を行うことによって、新しい骨を再生してインプラントを埋め込めるようになりました。これまでは土台となる健康な骨がある部位にしかインプラントを入れられませんでしたが、再生医療で骨を生成すれば今まで治療できなかった部位でもインプラントができるようになります。
【お読みください】
このサイトは、2019年6月の情報をもとに、インプラント治療が不安な方に向け東京都内のインプラント歯科を紹介しています。
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国内外のインプラント学会に属し、「指導医」「専門医」「認定医」に認定されている医師を取り上げています。
情報には正確性を期しておりますが、各治療の内容や費用の詳細、医療機関の最新の情報については、各公式サイトでご確認ください。
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【インプラント治療について】
・インプラントとは、基本的に無歯顎に人工の歯根を埋め込み、その上に人工の歯を装着する治療法です。
術式や方法は口腔や骨の状態、希望によって異なります。
・副作用(リスク):手術が必要なため、痛み・腫れなど体へ・負担や感染症のリスクがある、全身疾患など持病がある場合対応できないことがあり、また治療費が高額となる可能性もあります。
・費用:1本あたり300,000円~400,000円(使う素材によって変わります)
・平均的な治療期間:6ヶ月前後
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「痛い」「怖い」イメージのあるインプラント治療ですが、現在は「体への負担やストレスを軽減する治療」も増えています。個人の状態によって可能な治療法は異なりますので、医師と相談する事をおすすめします。